Phineas Newborn Jr. / A World Of Piano

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Phineas Newborn Jr. / A world Of Piano驚異のテクニシャンと言われたフィニアス・ニューボーン・ジュニア。

そう書くとオスカー・ピーターソンやアート・テイタムなどのテクニシャンを思い浮かべてしまうが、彼らのような流麗なタッチのピアノとは違うテクニシャンです。

鍵盤のはじからはじまで使うような点では同じですが、ブロックコードの使い方やどこか硬さのあるソロワークが個性的です。彼自身神経障害で活動がたびたび中断されました。その影響かもしれませんがどこか不安定なところがあります。その危ういバランスの上にたった彼のピアノは一聴忘れ難いのです。

時に崩れそうな弾き方をするのですが、絶対に崩れることはありません、その微妙なバランス感覚がニューボーンの個性ではないでしょうか。

また独特なブロックコード、時に抽象的な表現を交えながら展開されるこの奏法はフィニアスだけのもので聴けばすぐに彼のピアノとわかるほどです。

ブロックコードといえばレッド・ガーランドが有名ですが彼のようなスイートなものではなく、もっと男性的で太いのが特徴です。

さて今回のアルバムですが、彼の代表作の一つでコンテンポラリーに録音したものです。また僕が最初に聴いたフィニアス・ニューボーン・ジュニアのアルバムでもありより印象深いものがあります。

前半4曲と後半4曲でメンバーが違います。前半はマイルスのリズムセクション、ポール・チェンバースとフィリー・ジョー・ジョーンズのコンビ、後半はキャノンボール・アダレイのリズムセクション、サム・ジョーンズとルイ・ヘイズとのコンビです。

曲目はジャズメンのオリジナルです。3は有名なバラードですがこれもデューク・エリントンの片腕ビリー・ストレイホーンのオリジナルです。

1がパーカー、2がガレスピー、4がクリフォード・ブラウン、5がロリンズ、6がホレス・シルバー、7がリロイ・ヴィネガー、8がローランド・アレキサンダーです。

なんかバップ以降のジャズメンを順番に並べたような構成ですね。この選曲もこのアルバム成功の要因ではないでしょうか。僕的には後半の5・6が好きです。それと出だしの1が印象に残っています。

1の出だし、ブロックコードを弾きながら右手で鍵盤のはじからはじまで弾いていくところなどフィニアス・ニューボーン・ジュニアの面目躍如といった面持ちです。

このアルバムで特筆したいのは気持ちの良いスピード感があることです。疾風のごとく8曲を駈け抜けていくような爽快感が聴き終わったに残ります。

フィニアスのテクニックが良い方向に働いています。テクニックだけが先行したようなプレイではなく、音楽性とテクニックがうまくつり合った演奏になっています。

やはりコンテンポラリー移籍第1作ということもあり、フィニアス自身かなり気合いが入っていたのではないでしょうか。

アップテンポの曲にみせるダイナミズム。バラードにおけるリリシズム。ミディアムテンポにおけるリラクシズム。気持ち良いです。なお7は小品ですがたびたび聴いてしまいます。ウエストを代表する黒人ピアニスト、カール・パーキンスに捧げた曲です。どうもジャズワルツに弱いです。

ジャズピアノの定番といえる一枚です。ぜひライブラリーに。

PHINEAS NEWBORN JR(p) PAUL CHAMBERS(b) PHILLY JOE JONES(ds)
recorded 1961/10/16

  1. CHERYL
  2. MANTECA
  3. LUSH LIFE
  4. DAAHOUD
  5. OLEO
  6. JUCY LUCY
  7. FOR CARL
  8. CABU


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