Sahib Shihab And The Danish Radio Jazz Group
· 公開済み ·マルチ・リード奏者、サヒブ・シハブの激レア音源が復刻です。
サヒブ・シハブという奇妙な名前を初めて眼にしたのは「サックス・ノー・エンド」というケニー・クラーク=フランシー・ボーラン楽団のアルバムでした。このアルバムはちょっとエロティックなジャケットが印象に残っています。
僕の中で彼のプレイが決定的になったのは「JAZZ PARTY」というアルバムです。このアルバムの音の良さとサヒブ・シハブのフルートに魅せられてしまいました。それから彼のアルバムをオークションで落としたり、あらためてクラーク=ボーラン楽団のプレイを聴いたりと折に触れて彼の演奏を聴いていました。最近ではイタリアの復刻レーベル「REARWARD」から彼の演奏が聴けるアルバムが何枚か復刻され、これらも彼の知的でスマートなプレイを堪能できます。
サヒブ・シハブの特徴は黒人でありながら知的でクールなプレイです。アメリカでは地味な存在でサイドメンとしての活動が主でした。ヨーロッパへ渡ってからはバリトンサックスとフルートを主楽器としましたが、僕は彼のアルト・サックスも忘れがたい。彼のアルト・サックスが聴かれるアルバムとして「CURTIS FULLER AND HAMPTON HAWES WITH FRENCH HORNS」もおすすめです。
さて本アルバムですが幻の中の幻の激レアアルバムです。僕も雑誌などでその存在は知ってはいたものの一度も実物を見たことがありませんでした。演奏の素晴らしさを噂で知っていただけ。
今回初めて聴いてみてその素晴らしさに脱帽してしまいました。
とにかく1曲目の素晴らしさはなんといっていいか、まさにこの曲に出会えて幸せです。ニールス・ペデルセンのぶんぶんうなるベースで始まるこの曲に降参です。1曲目にこんな演奏を持ってこられたらどうしようもありません。そして録音の素晴らしさ、音がぐわーんと広がっていく。ソロはトランペット、テナーサックスと続いて満を持したサヒブ・シハブがバリトンでイカスソロをとります。クールです。
全曲サヒブ・シハブによるオリジナル、サヒブ・シハブの音世界に浸ってください。
都会のジャズと形容したいクールでスマートなプレイです。多分アレンジも彼でしょう。ヨーロッパに渡って本当の活動の場を得たサヒブ・シハブ。彼も思いっきり自由に心ゆくまで演奏しています。
彼のフルートは独特のダーティな音を使ってしかもセンスの良さを感じさせます。60年代のもつある意味無機質でコンクリートな感じが僕は好きです。
その雰囲気をサヒブ・シハブの音は僕に伝えてくれます。ビッグ・バンドに近い編成から繰り出される広がりのあるサウンドとここの素晴らしいソロ、ペデルセンのうなるベース。三者が渾然となった名盤です。
最後にこの超レアな音源を僕らにプレゼントしてくれた澤野工房の澤野さんに大きな声で「ありがとう」といいたいです。(復刻のアナログもプレミアがついています)
Sahib Shihab(bs) Palle Bolvig,Palle Mikkelborg,Allan Botschinsky(tp) Poul Kjaeldgard(tuba) Poul Hindberg(as,cl) Bent Jaedig(ts,fl) Niels Husum(ts) Ib Renard(bs) Fritz Von Bulow(g) Louis Hjulmand(vib) Bent Axen(p) Niels Henning Orsted Pedersen(b) Alex Riel(ds)
recorded 8/18,21/1965
- Di-Da
- Dance Of The Fakowees
- Not Yet
- Tenth Lamen
- Mai Ding
- Harvey’s Tune
- No Time For Cries
- The Crosseyed Cat
- My Little French Girl(Unissued)
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