Kenny Dorham / Quiet Kenny

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Kenny Dorham / Quiet Kennyもうどれくらい聴いたかわからないほど好きなケニー・ドーハムの人気盤です。

ケニー・ドーハムを形容するとき「渋い」「いぶし銀の」「通 好み」などという言葉がよく使われます。確かに派手ではないが、心にしみるトランペッターです。ジャズ界をリードするようなタイプでもないし、問題作を発表したわけでもありません。でもなぜか忘れられないプレーヤー。僕らの心に残るのはこうしたプレーヤーなのかもしれない。

彼はバップ期から活躍したトランペッターですが、その晩年に至るまでアメリカでは正当な評価は得られぬ まま1972年に亡くなりました。しかし日本では高い人気を得たミュージシャンでその点でソニー・クラークと似ています。また作曲の才能もあり名曲「ブルー・ボッサ」の作者でもあります。

本アルバムですがチョーがつくほどの人気盤で、ケニー・ドーハムの日本での人気を決定づけたアルバム。ジャケットからも伺えるようにケニー・ドーハムがバラードを中心にプレイしたハートウォーミングな作品です。彼の特徴である中音域を活かしたリリカルなプレイが堪能できます。特に2・4といったバラードプレイに彼の真価が発揮されています。

ケニー・ドーハムのプレイはあまり流暢とはいえません。ただ後ノリゆえのブルーな雰囲気が特徴的です。特にこのアルバムではケニー・ドーハムが慈しむように吹いています。温かいトーンも魅力的。それとこのアルバムでも彼の作曲の才能が遺憾なく発揮されています。もう一つ、名盤の影にトミフラあり、トミー・フラナガンのピアノが素晴らしいです。曲によってはトミフラのピアノに耳がいってしまうほどです。

1「Lotus Blossom」はケニー・ドーハム作曲の名曲。ハード・バップを代表する曲です。印象的なメロディからドーハムがハスキーなトーンでメロディアスなソロを展開、続くトミフラのピアノも素晴らしい。アート・テイラーの短いながら締まったドラミングも花を添えます。

2「My Ideal」このアルバムのベストトラックでは。ドーハムのブルーな雰囲気がこの曲にピッタリです。ブレークした後の出だしが好きです。

3「Blue Friday」再びドーハムのオリジナル。ハード・バピッシュな曲。ベースが絡むイントロがカッコイイ。トミフラのソロが素晴らしいです。

4「Alone Together」ドーハムは小細工せずにストレートにメロディを吹いていきます。かえってそれが好印象を得たのでは。

5「Blue Spring Shuffle」ドーハムのオリジナル。ポール・チェンバースのウォーキング・ベースから始まる、ファンキーな雰囲気を持った曲。

6「I Had The Craziest Dream」はなんか春の気持ちのように温かくなってきます。

7「Old Folks」まさにドーハムにピッタリのスタンダード。優しく語りかけてくれます。

8「Mack The Knife」三文オペラで有名な曲。ジャズファンにはロリンズのサキコロのプレイがピンとくるか。オリジナルアルバムでは収録されなかった曲です。

オリジナルの音を聴いてみたくなるアルバムの一つです。

Kenny Dorham(tp) Tommy Flanagan(p) Paul Chambers(b) Arthur Taylor(ds)
recorded 11/13/1959

  1. Lotus Blossom
  2. My Ideal
  3. Blue Friday
  4. Alone Together
  5. Blue Spring Shuffle
  6. I Had The Craziest Dream
  7. Old Folks
  8. Mack The Knife


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