Red Garland / Red In Blues-ville
·ブルース・フィーリング溢れるレッド・ガーランドの好盤。
右手のリリカルなメロディ・ラインと左手の間がレッド・ガーランドのあの独特なタッチを生みだしています。エロール・ガーナーに影響を受けたと言われる半歩遅れたような間によってリラクゼーションとブルース・フィーリングをリスナーに感じさせてくれます。
ガーランド節と呼ばれるあのタッチとガーランドにしかできないブロックコード、時に甘口なプレイからカクテル・ピアノなる蔑称も。しかしレッド・ガーランドの根底にはブルースがあります。マイルス・クインテットでの緊迫したプレイも素晴らしいですが、ガーランド節をちりばめたトリオ作品の魅力には抗しがたいです。バラードでのリリカルな表情はガーランドの音の美しさを堪能できます。ほんとうに美しい音を出すピアニストです。
さてこのアルバムですがが、なんで「GOOVY」じゃないのという声も聞こえてきそうです。僕も最初に買ったレッド・ガーランドのアルバムはGOOVY」でした。もしあの場所がまだ残っていたならその前で写 真を撮りたい、それほどジャズを感じさせてくれるジャケットですね。
ではなぜ今回このアルバムを取り上げたかというと、レッド・ガーランドの作品の中で比較的地味なアルバム。だけど内容は非常に素晴らしいからです。ベースがポール・チェンバースではないというのもみそです。
ベースのサム・ジョーンズはキャノンボール・アダレイ・クインテットでのプレイが有名ですが、彼の粘るベースはこのアルバムのブルースフィーリングにマッチしています。事実レッド・ガーランドとは度々コンビを組んでいるので息もピタリとあっています。レッド・ガーランドが再カムバックしたときのベースも彼です。
ドラムスのアーサー・テイラーはプレスティッジのハウス・ドラマー。様々なセッションに参加しています。ガーランドも度々共演しているので気心の知れたプレイです。
これはタイトル通 りブルースばかり集めたレッド・ガーランドの中では異色作。でもガーランド節を振りまきながら美しいトーンでソロをとります。ブルース・プレーヤー、レッド・ガーランドを再認識するのに絶好のアルバムでせす。そして実にリラックスした演奏です。たっぷりブルースを演奏できる喜びに全員が浸っているように聞こえます。3のベイシー作曲のテレビ主題歌も立派なブルースになっています。僕の足も思わずビートを刻んでしまいます。全体を通 してサム・ジョーンズのウオーキング・ベースがガーランドを上手く盛り上げています。
シー・シー・ライダーなどのスロー・ブルースは特にガーランドの独壇場ですね。右手のメロディから段々とブロック・コードを交えながら盛り上げていくガーランドの得意技に思わずニンマリしてしまいます。
最後のセントルイス・ブルースはちょっと軽めのプレイ。できればレッド・ガーランドのオリジナル・ブルースで締めて欲しかったのはちょっと欲張りでしょうか。
「グルーヴィ」や「アット・ザ・プレリュード」の陰に隠れた作品ですが、ピアノ・トリオファンに是非聴いてもらいたい一枚です。
Red Garland(p) Sam Jones(b) Arthur Taylor(ds)
recorded 4/17/1959
- He’s A Real Gone Guy
- See See Rider
- M Squad Theme
- Your Red Wagon
- Trouble In Mind
- St. Louis Blues
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