Bill Evans / Waaltz For Debby
·ビル・エヴァンスといえばすぐにスコット・ラファロとのトリオが連想されます。様々なアルバムを残しながらやはり僕らの心を捉えるのはリバーサイドの4作でしょう。
エディ・ゴメスら他のベーシストもテクニック的にはラファロに迫るものはありましたが、ビル・エヴァンスとスコット・ラファロとの間で交わされた心の交流を越えるものはありません。唯一無二です。スコット・ラファロの死後様々なベーシストがエヴァンス・トリオに去来したがついにスコット・ラファロに適うものはいませんでした。最後まで彼のプレイを追い求めてビル・エヴァンスは果 たせないまま去ってしまいました。
ビル・エヴァンスの奏でるメロディは甘美でリリシズムに溢れているとよく言われるます。確かにそうですがよく聴くとかなり無機質なプレイのように僕は思えます。スコット・ラファロとのインタープレイも白熱してはいるがどこか冷めたものを僕は感じます。もう一人のビル・エヴァンスが冷静に見つめているような。
僕が彼に出会ったのはもちろん高校生の時、ジャズ本などからビル・エヴァンスはいつか買わなくちゃと思っていました。
最高傑作は「ポートレイト・イン・ジャズ」という定評で、僕もこれが欲しかったのだが兄との協定で、同じレコードを買うのは止めようとなっていました。兄がこちらを持っていたので僕は「ワルツ・フォー・デビー」を買うこととなりました。今とジャケットは違っていて見開きのジャケットでした。。
代金を払いレコードを抱きしめるようにして家に帰りました。そのころレコードを聴く時の儀式というか、必ずコーヒーを飲みながらと決めていました。多分大人のまねをしたかったんでしょう。その時もドリップでコーヒーをたててからアンプのスイッチを入れ、ジャケットからライナーノーツを出し、音が出るのを待ちました。
最初の「マイ・フーリッシュ・ハート」が鳴り出した瞬間ぼうっとしてしましまいました。なんて甘美なメロディなんだろう。それまで聴いていたピアニスト達とは全く違った弾き方、ジャズ初心者の僕には本当に聴きやすく美しいピアノでした。
スコット・ラファロのベース、あんな風に演奏できるなんて神業としか思えませんでした。まるでビル・エヴァンスと会話をしているように聞こえました。実際にはバックでビリ・エヴァンスに「給料をあげろ」と脅していたらしいです。オリン・キープニュースに言わせるといやな奴だったようです。でも二人のプレイからはそんなこと露ほども。
プレイが進むにつれて演奏の合間に聞こえる笑い声や話し声、グラスがカチカチ鳴る音。アメリカ人は真剣に聴かないのかなあ、なんてちょっと信じられませんでした。でもあの音がなかったらこのアルバムの魅力は半減していたでしょう。ライブアルバムの名録音としても推薦したいです。
多分このアルバムからジャズに入門した方も多いでしょうね。僕もジャズを聴き始めた頃に買っています。また女性に人気の高いアルバムナンバーワンです。その中でもタイトルの「ワルツ・フォー・デビー」姪に捧げた曲でジャズの名曲です。
初心者の時の感動と今の感度が別 の所にあるのもこのアルバムのすごいところです。メロディの甘美さで「ワルツ・フォー・デビー」インタープレイの面 では姉妹盤「サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」どちらもぜひ聴いて欲しいです。
なお余談ですがこのアルバムオーディオ的に神話があり。演奏の途中で地下鉄の通 る音が聞こえるらしいです。録音された「ヴィレッジ・ヴァンガード」は地下にありすぐヨコを地下鉄が通 っているとのことです。オーディオマニアの方挑戦してみてください。僕のシステムでは再生できませんでした。(TOT)
Bill Evans(p) Scott LaFaro(b) Paul Motian(ds)
recorded 6/25/1961
- My Foolish Heart
- Waltz For Debby
- Waltz For Debby(Bonus Track)
- Detour Ahead
- Detour Ahead(Bonus Track)
- My Romance
- My Romance(Bonus Track)
- Some Other Time
- Milestone
- Porgy(Bonus Track)
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