Anita O’Day / Anita Sings The Most

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Anita O'Day / Anita Sings The Most

初めて買ったジャズ・ヴォーカルのレコードです。高校生の時に最初に買うヴォーカルをどれにするかかなり迷いました。エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、ヘレン・メリル、カーメン・マクレエ。お小遣いが限られいる高校生ですので一枚に絞るのは至難の業でした。お小遣いが出るまで一ヶ月ほどかかってアニタに決めたのですが、ではアニタのどれにするか。これが問題でした。スイング・ジャーナルを読んでThis Is AnitaかAnita Sings The Mostに絞りました。最終的にはバックがオスカー・ピーターソンのコンボが決め手となってAnita Sings The Mostになりました。

当時発売されていたアルバムは今と違ってオリジナルのジャケットではなく再発盤のジャケットでした。一目散に家に帰りレコードをターンテーブルに乗せて音が出た途端オスカーのスインギーなイントロ、そのあとでてきたアニタの第一声でノックダウンです。ちょっと大人になったような気分になりました。たかだか16歳の小僧でしたが。

Anita O'Day / Anita Sings The Most

↑ 高校生時に買ったジャケットです。

オスカーは当時ヴァーヴのハウス・ピアニストとして様々なセッションに参加していました。ヴォーカルのバックを務めることも多く、傑作を数多く残しています。ただビリー・ホリディとの共演だけは彼のスタイルがビリーには合わなかったようです。

アニタとオスカーの相性は抜群ですね。アニタの歌のバッキングもバッチリですし、ソロも簡潔にまとめてアニタの歌を盛り上げています。またハーブ・エリスの小気味の良いギターもこのアルバムに花を添えています。

アニタ・オディは決して声量もないし音程も不確かだし音域も狭いです。しかしそれを補ってあまりあるジャズセンスが彼女のヴォーカルの魅力ではないでしょうか。何気ない小唄をくずしながら歌うところやリズムに対するノリが他のヴォーカリストにはまねの出来ない魅力です。

1曲目のスワンダフルからThey Can’tへ移るところなんか思わずニヤッとしてしまいます。

2曲目のテンダリー、やられました。テンダリー、テンダリーと2回繰り返しの語尾を伸ばすところなんかカッコいいです。

レコードでいうと1-5がA面、6-11がB面です。両面に共通するのはミディアムバウンスの曲の出来が素晴らしいです。思わずスピーカーの前に乗り出してしまいます。ボリュームも若干上げ気味です。

9-10と続くところなんか何回も聞き返してしまいました。

8のものすごい早さのドライブ感。

11のバラードでのしっとりした味わい。

アニタ・オディの最盛期の傑作です。

鉄火肌の姉御、アニタ・オディを存分にお楽しみください。

Anita O’Day (vo) Oscar Peterson (p) Herb Ellis (g) Ray Brown (b) John Pool,Milt Holland (ds)
recorded Jan 31,1957

  1. S Wonderful-They Can’t Take that Away from Me
  2. Tenderly
  3. Old Devil Moon
  4. Love Me or Leave Me
  5. We’ll Be Together Again
  6. Stella by Starlight
  7. Taking a Chance on Love
  8. Them There Eyes
  9. I’ve Got the World on a String
  10. You Turned the Tables on Me
  11. Bewitched, Bothered and Bewildered


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