Hampton Hawes / The Green Leaves Of Summer

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Hampton Hawes / The Green Leaves Of Summerハンプトン・ホーズは50年代後半傑作アルバムをコンテンポラリーから次々とリリースしました。しかし58年末より麻薬のため刑務所に収監、5年ぶりに本作を吹き込むことになりました。5年の空白が彼に何をもたらしたかはわかりませんが、爽やかでうまいハンプトン・ホーズがいます。

彼もまたバド・パウエル派のピアニストですが、イーストのピアニストとは違い明るく爽やかにスイングします。しかし黒人としてのブルース・フィーリングを合わせ持つ彼のプレイスタイルから、白人ミュージシャンが好んで彼を使ったというのも首肯できます。

この復帰作もまたコンテンポラリーからリリースされました。プロデューサーのレスター・ケーニヒの彼に対する思い入れの深さみたいなものを感じました。これはアート・ペッパーにも共通するものですね。

ハンプトン・ホーズはブルース弾きとして有名です。だからといって、ねっちこく泥臭いフィーリングかというとそれは違ってあくまでも都会的なフィーリングのブルース感覚です。しかし白人的なブルースではありません。ハンプトン・ホーズの父親が牧師の関係で幼少より教会音楽に親しんできた影響があると思われます。その点ではボビー・ティモンズと共通するところがありますが、彼のようにファンキーなスタイルではなく、洗練されたブルース・フィーリングです。このことは彼の育ったウエスト・コーストという風土も大きく影響していると思われます。

さて本アルバムですが、このアルバムは彼の最高傑作ではありません。しかし復帰以後の代表作の一つだと思います。そしてハンプトン・ホーズのピアニスティックな一面が良く出たアルバムともいえるでしょう。

僕はハンプトン・ホーズのリズムのノリが好きで、それが多分彼のフィーリングなんだと思っています。なんとなくちょっと遅れ気味なノリがブルースを感じさせるのでしょう。ちょっと聴いただけでは不器用なソロに聞こえます。で良く聴いているとミストーンではなく彼のノリがそう聞こえさせるのでしょう。

復帰後のハンプトン・ホーズのピアノは円熟味がましたと良く言われます。このことを頭に入れながら今回あらためてこのアルバムを聞き直してみました。

そこである事に気づきました。58年までのハンプトン・ホーズのソロと復帰後のソロと比べるとシングルトーンの強弱が違うことです。58年まではシングルトーンにかなりめりはりを持たせていました。復帰後はめりはりよりも流れを重視しているように聞こえました。それが円熟味をましたと受け取られる要因ではないでしょうか。

このことの良く現れた曲がタイトルの「GREEN LEAVES OF SUMMER」ですね。ジョン・ウエイン「アラモ」の主題歌です。

ハンプトン・ホーズはバロックを思わせる手法を用いて演奏しています。右手のタッチは以前より流ちょうになっています。冒頭のソロピアノからベースとドラムスが加わるところが好きです。

ハンプトン・ホーズは小唄のうまさでも定評があります。3・5・6・7といったスタンダードは聴いていて気持ちがいいですね。シークレット・ラブなんてほんとウキウキしてきます。

アルバム構成もうまいと思います。1「VIERD BLUES」マイルスのオリジナルに、5ロリンズの有名な「ST.THOMAS」。そしてタイトル曲は映画の主題歌。ホーズお得意のスタンダードに最後は自作のブルースを持ってくるなんてにくい選曲ですね。

バックの2人がちょっと小粒ですがその分ハンプトン・ホーズのピアノが目立つ結果になったようです。

なおMONK MONTGOMERY(b)はウエス・モンゴメリーのお兄さん、STEVE ELLINGTON(ds)はあのトニー・ウイリアムスの従兄弟だそうです。

残念なのはリマスターの際音が若干おとなしくなってしまった点です。しこしボリュームをあげないとこのアルバムの良さは解らないとおもいます。シンバルの響きも良くなります。

復帰後の好調なアルバムに一つ「THE GREEN LEAVES OF SUMMER」ハンプトン・ホーズの爽やかなソロをお楽しみください。

HAMPTON HAWES(p) MONK MONTGOMERY(b) STEVE ELLINGTON(ds)
recorded L.A. Feb 17,1964

  1. VIERD BLUES
  2. THE GREEN LEAVES OF SUMMER
  3. ILL WIND
  4. ST. THOMAS
  5. SECRET LOVE
  6. BLUE SKIES
  7. THE MORE I SEE YOU
  8. G.K.BLUES

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