The Pauk Desmond Quintet Plus The Paul Desmond Quartet Featuring Don Elliott
·ポール・デスモンドの最高傑作を含むファンタジー時代の2in1。
ポール・デスモンドといえばデイブ・ブルーベック、ブルーベックといえば「テイク・ファイブ」というぐらいデイブ・ブルーベックとの活動でその名を知られたポール・デスモンド。しかしあのグループの魅力はほとんどポール・デスモンドにあったといっても過言ではないと思います。
パーカーのようには吹けてもポール・デスモンドみたいには吹けないと言わしめるほど独特なトーンの持ち主。その清らかで優しい音色は一度聴いたら忘れられません。ソロも実にメロディアス。まさに白人にしかできないジャズです。
デイブ・ブルーベック・カルテットはポール・デスモンドのすがすがしいプレイとブロック・コードを多用するブルーベックの少々グロテスクなプレイとの対比において醸し出されるある種のフレッシュな感じや多少難解さを残したプレイが学生達や白人ジャズファンに大いに受けました。ただ冷静に分析するとつまりはポール・デスモンドの魅力に負うところが多いグループだったと思います。
ポール・デスモンドはブルーベック在籍時から度々リーダーアルバムを吹き込んでいます。特にギターのジム・ホールと組んだRCAの諸作やワーナーの「ファースト・プレイス・アゲイン」は有名です。実にしっとりとして清らかなプレイです。滑らかな音色とメロディックなフレージングは聴いているものをリラックスさせます。
さて本アルバムですが、これはファンタジー時代に吹き込まれたアルバム2枚をカプリングした2in1です。デスモンドのプレイはこの時代からもう完成されたプレイヤーで、ここでも絹の手触りのような滑らかなトーンとメロディアスで豊かなフレージングを聴くことができます。
1-8がクインテットで9-16がカルテットの演奏だ。前半のクインテットには4曲コーラスが加わります。ポール・デスモンドをムード音楽と誤解する輩はこうした演奏から誤解するのかもしれません。コーラスの加わったテイクは確かに少々甘い演奏ですが、それでもポール・デスモンド自体は普段のプレイです。僕は意外とこういう演奏が好きです。
僕がこのアルバムを強力にオススメするのは後半に収録された9-16の「ポール・デスモンド・カルテット」の演奏です。これぞポール・デスモンドの最高傑作と僕は思っています。しかも国内未発売なのです。こんな素晴らしい演奏が何故今まで1回も発売されなかったのだろう。もしかするとジャケットのダサさかも。(ここのアルバムジャケットはクインテットのものです)
僕はこのレコードがどおしても聴きたくてオリジナル盤を買ってしまいました。アメリカから届いたときは本当に嬉しかった。他の盤と一緒に来たのですが、まずいの一番にこれを聴きました。期待に違わず素晴らしいプレイでした。
ドン・エリオットとポール・デスモンドが作り出す桃源郷のようなサウンド。果 てしなく美しい世界です。ピアノレスカルテットなのでよりメロディックなソロが展開され、僕の大好きな「Everything Happens To Me」が収録されているのもこのアルバムの魅力を否が応でも高めています。ただベースのどうしようないソロはご愛敬です。
日本ではほとんど省みられることのないプレヤー、ドン・エリオットのメロフォンという珍しい楽器によるソロも見逃せません。
ほとんどマスコミで取り上げられることのない作品だがこのアルバムはぜひ全ジャズファンに聴いてもらいたい作品です。
1,4,5,8
Paul Desmond(as) Dick Collins(tp) Dave Van Kriedt(ts) Bob Bates(b) Joe Dodge(ds)
2,3,6,7
Paul Desmond(as) Jack Weeks(tb) Barney Kessel(g) Bob Bates(b) Joe Dodge(ds) The Bill Bates Singers
9-16
Paul Desmond(as) Don Elliott(mello) Norm Bates(b) Joe Chevrolet(ds)
recorded 2/14/1956
- Jeruvian
- Soon
- Winky
- Baroque
- But Happy
- Will I Know
- Garded In The Rain
- Misty Window
- Jazzabelle
- A Watchman’s Carroll
- Everthing Happens To Me
- Let’s Get Away From It All
- Look For The Silver Lining
- Sacre Blues
- You Go To My Head
- Line For Lyons
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