Don Friedman / Circle Waltz
·ビル・エヴァンス派の俊英として評価の高かったドン・フリードマン。リバーサイドに4枚のアルバムを残すもいつの間にかファンから忘れ去られた存在になっていました。75年以降日本で再認識され何枚かのアルバムをリリース。しかし最近はまたアルバムが出ていません。
幼少時両親の影響からクラシックを目指しただけにビル・エヴァンスよりクラシック的な響きを持っています。白人的なピアノで、だからちょっと固いところを感じてしまうのも否めません。
白状するとビル・エヴァンス派の俊英というキャッチ・フレーズから、どうせならビル・エヴァンス聴いていた方がいいやと長い間聴かずにいたピアニストの一人です。僕って結構そういったミュージシャンがかなりいてついつい反省してます。
ドン・フリードマンを初めて聴いたときもやっぱビル・エヴァンスだなあという印象。タッチも似ているし。たしかにビル・エヴァンスのイミテイターといわれてもしょうがない、でもエヴァンスにはない硬質な響きが結構気に入りました。しんと静まった冬の深夜を思わせる響きを僕は感じてしまいました。そしてなんとなくもの悲しさも・・・
このアルバムはリバーサイド2作。デビュー作は全編彼のオリジナルでしたがこのアルバムではオリジナル4曲、スタンダード2曲、デイヴ・ブルーベックの曲という構成です。
1作目は大都会の夜明けから夜までを描き出した組曲風のアルバムだったのに比べて本作の方がリラックスした味わいがあります。ただ内容的には甲乙付けがたいです。
1曲目の「CIRCLE WALTZ」ドン・フリードマンのオリジナル。なんとなくエヴァンスのオリジナルみたいですね。ベースのチャック・イスラエルがスコット・ラファロを思わせるバッキング。ただフリードマンのトリオはあくまでもリーダーはフリードマンです。
2「SEA’S BREEZE」これもドン・フリードマンのオリジナル。なんとなくクラシカルな響きのあるイントロ。フリードマンのテクニックはさすがです。
3「I HEAR A RHAPSODY」40年代にヒットしたポップチューン。イントロからまるでフリードマンのオリジナルのような響きです。ピアノソロの部分はフリードマンの世界を感じます。アドリブに入るとテンポが速くなりエヴァンス・タッチが鮮明に。ピート・ラロカのドラムが素晴らしいです。
4「IN YOUR OWN SWEET WAY」デイヴ・ブルーベックのオリジナル。5「LOVES PARTING」再びフリードマンのオリジナル。と続く2曲のバラードが僕は一番好きです。フリードマンのリリカルなプレイはいろんな情景が浮かんでは消える詩的な演奏です。
6「SO IN LOVE」スタンダード。唯一のピアノソロ。レニー・トリスターノを思わせるプレイ。ソロにおけるプレイにより独自性を感じます。
7「MODES PIVOTING」フリードマンのオリジナル。モードによって書かれた曲。エヴァンス・タッチながらたたみ込むようなソロはフリードマンの個性か。
特筆したいのはドラムのピート・ラロカ。ビル・エヴァンスのトリオにポール・モティアンが必要だったように、ドン・フリードマンの硬質な世界にはピート・ラロカのドラムが必要だったのでは。
ビル・エヴァンスの名に埋もれてしまった感のある鈍・フリーマンですが、彼の詩的な世界は聞き手の想像力をかき立てるものがあります。
Don Friedman(p) Chuck Israels(b) Pete La Roca(ds)
recorded 5/14/1962
- Circle Waltz
- Sea’s Breeze
- I Hear A Rhapsody
- In Your Own Sweet Way
- Loves Parting
- So In Love
- Modes Pivoting
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