Cannonball Adderley / Know What I Mean ?
· 公開済み ·キャノンボール・アダレイはソウル色の強さゆえ60年代中期以降のアルバムは日本ではほとんど評価されることがありません。ファンクの御用商人とか色々と揶揄されています。しかしアメリカでは絶大な人気です。ファンクなキャノンボールも実は魅力的です。
底抜けに明るいトーンでバリバリ吹きまくるキャノンボール・アダレイに大いなる魅力を感じるファンも多いことでしょう。時にオーバーファンクなプレイも見せますが60年代前半のアーシーで天真爛漫なアルバムはいまだ輝いています。やはりリバーサイドに残したアルバムがキャノンボール・アダレイの頂点ではないでしょうか。ミルト・ジャクソンと共演した「THINGS ARE GETTING BETTER」のゴスペル風な演奏も好きで良く聴きます。
このアルバムはキャノンボール・アダレイのリリカルなプレイが堪能できるアルバム。またキャノンボール・アダレイのワンホーン・アルバムとしても貴重です。
このセッションは3回に分けて録音されており、共演のビル・エヴァンスは2回目と3回目の間に名作「EXPLORATIONS」を録音しています。
共演の複線は当然マイルス・セクステットにあるわけですが、一見バランスを欠く共演にみえながら二人のコラボレーションは少しの反故もありません。マイルス退団以後ビル・エヴァンスはスコット・ラファロとの共同作業を押し進め新しいピアノ・トリオの表現を確立しました。キャノンボール・アダレイも自己のクインテットでアーシーな側面 を強めつつ前進していた時期です。ただしその行き方は違っても互いにマイルスの元でモードを体験したことがこの共演を実りあるものにしています。リズム・セクションになぜMJQの二人が起用されたのかは謎ですが、スコット・ラファロのベースではあまりにビル・エヴァンス色が強くなりすぎてしまったかもしれません。(本当それも聴いてみたかった!)
1は有名なエヴァンスのオリジナル。エヴァンスの美しいイントロのあとキャノンボール・アダレイのソロとなります。明るいトーンで軽く出ながら次第にエモーショナルになっていきます。キャノンボールの独り舞台。オープニングにはもったいない演奏。
2は映画「ベニー・グッドマン物語」で有名な曲。キャノンボールの泣きのアルトがすばらしい。エヴァンスのソロが実にロマンティックです。この曲の新しい局面 を見せてくれます。
3・4はガーシュインのスタンダード。3がオリジナルテイク。キャンノンボールが実に楽しげに吹きます。もう止まらないって感じ。エヴァンスも触発されてジャンプしています。後半はブロック・コードを効果 的に使っています。4は本当に止まらなくなったキャノンボール。ただしちょっとソロが3に比べて冗漫な感も。エヴァンスも圧倒されたようですか。
5は二人のMJQメンバーに敬意を表したのでしょうか。ジョン・ルイスのオリジナル。映画「大運河」で使われた曲です。ヴェニスの水面 が見えるような美しいメロディ。エヴァンスがちょっとジョン・ルイス風に弾いています。
6クリフォード・ジョーダンのオリジナル。何とも愛らしいメロディ。しかしソロは結構ハードです。エヴァンスのソロが面 白い効果を使っています。
7はビル・エヴァンスの愛奏曲。この曲だけスコット・ラファロを使ったらどうなったんだろうと思います。。ビル・エヴァンスのソロのあとキャノンボールの出だしの音が好きです。そのあとのエヴァンスのソロはテーマを暗示しながら幽玄な世界を描き出します。
8はジミー・ヴァン・ヒューゼンのバラード。メロディの最後を持ち上げるキャノンボールのソロが情感たっぷり。続くエヴァンスのソロもロマンティック。
9・10は再びエヴァンスのオリジナル。このアルバムの中で一番モーダルな演奏。
今は亡き二人のリリカルなプレイを味わってください。
Cannonball Adderley(as) Bill Evans(p) Percy Heath(b) Connie Kay(ds)
recorded 1/27,2/21,3/13/1961
- Waltz For Debby
- Goodbye
- Who Cares(take5)
- Who Cares(take4)
- Venice
- Toy
- Elsa
- Nancy(With The Laughing Face)
- Know What I Mean(re-take7)
- Know What I Mean(take12)
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