Sonny Criss / Saturday Morning

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Sonny Criss / Saturday MorningアルトのSonny Crissが晩年にリリースした傑作です。彼のアルバムの中でも人気の一枚で、最高傑作との呼び声もあります。

僕がこのアルバムを初めて聴いたのは大学の時で当時の新譜でした。学生時代はフュージョンの嵐でジャズ界を席巻していました。そんな中発売されたこのアルバムは4ビート派の溜飲を下げた一枚となり、かなりのヒットになりました。僕もその中の一人です。

このヒットによりSonny Crissの来日が決定し、僕も彼のライブを楽しみにしていました。しかし来日直前にSonny Crissが謎の自殺したことにより突然の中止となってしまいました。彼の自殺には諸説あり、自殺ではないという意見もかなりありました。Sonny Crissのプレイを聴くチャンスが永遠に失われたことは非常に残念です。

しかしこのアルバムのヒットによりSonny Crissの過去のアルバムが再発されたのは喜ばしい限りです。特に入手困難だったインペリアル盤が複刻されたのは嬉しかったです。

これは1975年にプロデューサーのDon SchlittenがつくったXanaduで1976年にリリースされました。番号が105なので最初期の録音です。Don Schlittenとはプレスティッジなどでコンビを組んだ旧知の間柄でSonny Crissも信頼していたのだと思われます。

Sonny Crissはバップの時代から演奏しているプレーヤーでやはりCharlie Parkerの影響を受けています。Criss節と形容される独特なスタイルの持ち主です。明るくやや甲高い音と素早いパッセージ、気持ちの良い演奏を聴かせてくれます。出身はメンフィスなので根底にはブルースがあるのでしょう。

Sonny Crissは60年代PrestigeにDon Schlittenのプロデュースで7枚ほどの吹き込みを行った後ノイローゼになりこのアルバムが6年ぶりの復帰作となります。その間何があったか分かりませんが、この演奏聴く限りCrissのプレイに深みが加わったように感じます。

ここではSonny Crissは以前と違いかなり抑えたブルーな雰囲気です。1曲目のAngel Eyesはこの曲のベストの一つと言っても良いくらいです。Barry Harrisの印象的なイントロからCrissが抑えた深い音色でブルージーなソロをとります。この1曲でこのアルバムを聴く価値ありと言いたいです。

2曲目のTin Tin Deoも哀愁のある演奏です。以前ならもっとたたみかけるようなソロになったのですが、抑制の利いたプレイです。Gillespieのも良いですがCrissのソロが心にしみます。

3曲目はSonny Crissの自作ブルースです。これぞブルースという演奏を聴かせてくれます。

4曲目のSonny Crissのオリジナルです。物憂げな土曜日の朝でしょうか。

5・7曲目はBarry Harissのトリオ。Sonny Crissは抜けています。味わいのあるプレイです。7曲目はCDのみのボーナス・トラックです。

6曲目のスタンダード、Sonny Crissがこの曲を慈しむようにプレイします。

そしてこのアルバムのもう一つの魅力はBarry Harrisのピアノです。この当時Barry Harrisは絶好調で、Xanaduにも2枚のアルバムを吹き込んでいます。Barry Harrisの存在がこのアルバムの価値をもう一段上にしています。

Sonny Crissの晩年の傑作にして最高のプレイをお楽しみください。

Sonny Criss (as) Barry Harris (p) Leroy Vinnegar (b) Lenny McBrown (ds) 5/7 except Sonny Criss
recorded March 1,1975

  1. Angel Eyes
  2. Tin Tin Deo
  3. Jeannie’s Knees
  4. Saturday Morning
  5. My Heart Stood Still
  6. Until The Real Thing Comes Along
  7. Confusion (Bonus Track)

 


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