Barney Wilen / Barney

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Barney Wilen / Barneyフランスの人気テナー奏者バルネ・ウィランの代表作でハード・バップ期の傑作です。

僕がバルネ・ウィランを初めて聴いたのはジョン・ルイスのAfternoon In Parisでした。1曲目のI Cover The Waterfrontでジョン・ルイス、サッシャ・ディスティルのあとに続いて出たバルネのソロ、ロリンズのようなゴリッとした音とスムースなライン、ビックリしました。フランスにこんなテナーがいるんだと驚きました。このアルバム吹き込み当時19才です。

もちろん彼はマイルスの死刑台のエレベーターで脚光を浴びたテナー奏者です。ただ僕はこのアルバムをかなり後まで聴きませんでした。理由はわかりません。実は最初は映画でした。もちろん映画のサウンドトラックなのですが、映画での印象の方が鮮明です。

さてこのアルバムですが、1959年4月にパリのクラブサンジェルマンでライブレコーディングされました。ライブとしては音の良いアルバムとしても有名です。バルネはこの時22才です。

典型的なハード・バップの編成で2管+リズム隊のクインテットです。しかしそこにケニー・ドーハムのトランペットとデューク・ジョーダンのピアノが加わっています。2人とも脂ののりきった時期で最高のパフォーマンスを見せてくれます。ベースとドラムスはフランス組です。ダニエル・ユメールの若々しいドラムも聴けます。ベースのポール・ロヴェールはあまり良く分かりませんが、ベースがピエール・ミシュロだったらとちょっと思ってしまいました。

全曲を通して絶頂期のケニー・ドーハムのトランペットとデューク・ジョーダンのピアノが聴くことが出来ます。2人に鼓舞されてバルネ・ウィランも最高のソロを展開していきます。自分的にはなんといっても4のLady Birdの演奏にやられました。ジョーダンのピアノが特に素晴らしいです。これを聴くだけでもこのアルバムの価値があります。

またCDはレコードでは収録されなかった4曲(5-8)が収められています。ドーハムのオリジナルLotus Blossomは彼に敬意を表したのでしょうか。レコードにはジョーダンのオリジナルJorduも収録されています。またEverything Happens To Meではバルネ・ウィランのソプラノも聴けます。テナーより白人的なスマートなソロです。何故この4曲がお蔵になったのか不思議なくらい良い演奏です。当夜のセッションがいかに素晴らしかったかよく分かります。なおこの後このセッションの第2集がCDのみですがリリースされました。併せてお聴きください。

1回だけのブローイングセッションですが、僕の想像ではデューク・ジョーダンが音楽監督的な立場でこのセッションをリードしたのではと思っています。

典型的なハード・バップセッションですが、メッセンジャーズのようなハード・バップとは少し違ったパリのエスプリみたいなものを感じるのは僕だけでしょうか。

とにかくフランスの若手たちとアメリカのベテランががっちりと手を組んだハード・バップの傑作をお聴きください。

Barney Wilen (ts,ss) Kenny Dorham (tp) Duke Jordan (p) Paul Rovere (b) Daniel Humair (ds)
recorded 24,25 april,1959

  1. Besame Mucho
  2. Stablemates
  3. Jordu
  4. Lady Bird
  5. Lotus Blossom
  6. Everything Happens To Me
  7. I’ll Remember April
  8. Temoin Dans La Ville


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