Phil Woods / Woodlore
·実はフィル・ウッズという人が良くわからない。テクニックからいったら全アルト奏者のなかでもトップの存在。ただ上手すぎて時々うるさく感じる時もあります。ヨーロピアン・リズム・マシーンの時代が好きな方にはたまらないでしょうが、僕は少し疲れてしまいます。切れの良さ楽器の鳴りの良さはずっと変わりません。でも何故か上手いんだけど、う~んという存在なのです。しかしフィル・ウッズの50年代はチャーリー・パーカーへの思いとは別 に、彼のアルト奏者としてのすぐれた資質を開花させた素晴らしい作品が多いと思います。
フィル・ウッズがパーカーから絶大な影響を受けているのはプレイを聴けば良くわかります。しかしウッズのプレイはそれだけではなく青春の輝きに似た美しく明るいトーン、メロディアスで最後をちょっとしゃくり上げるような独特なフレージング。いわばウッズ節が彼の魅力でしょう。ヨーロッパに渡ってからはよりフリーでメタリックな音色となっていきました。それが素晴らしいと評価する方もいます。しかし僕は初期の暖かなトーンをより愛します。特に中音域の素晴らしさは格別 です。
このアルバムは「WARM WOODS/EPIC」(機会があったらこれも是非聴いてください)と並ぶフィル・ウッズの50年代を代表する傑作だと思います。ワンホーンで録音されたので、フィル・ウッズの魅力を余すところなく聴くことができます。
中音域の美しさ、独特の音色、ウッズ節、それとエモーショナルで躍動感にあふれるプレイが心地よいです。確かに黒人プレーヤーに比べると多少軽さを感じるときもありますが、フィル・ウッズにはそれを補ってあまりあるよどみのないフレージングがあります。滑らかに次々と飛び出すメロディラインは実に魅力的です。
さてこのアルバムは1・6がフィル・ウッズのオリジナル。残りがスタンダードという構成。
アップテンポの曲では途切れることなくメロディが次から次へと紡ぎ出され、一音一音がクリヤーでそれでいて暖かさを感じます。スローボートなどその好例です。5でのパーカーばりの熱気溢れるソロは特筆したいです。バラードでは美しい中音域を使いながら瑞々しいソロをとります。
ジャケットを含めて初期フィル・ウッズの傑作です。
Phil Woods(as) John Williams(p) Teddy Kotick(b) Nick Stabulas(ds)
recorded 11/25/1955
- Woodlore
- Falling In Love All Over Again
- Be My Love
- On A Slow Boat To China
- Get Happy
- Strollin’ With Pam
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