KOBAのジャズ青春記 第6回

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St.Germain
スイングジャーナル1970年の広告↑

大学生活のはじまり

何とか大学にもぐりこみ念願の東京生活が始まった。とりあえず高円寺の知人の家に間借りした。半アパートみたいなところで部屋は4畳、ガスと水道がついていた。友達が泊まると一人が押入れに頭を入れないと寝られないような部屋だった。憧れの東京生活に興奮していた。

真っ先に松本から持ってきたステレオを設置。
うれしかった。

たいした荷物もなかったが部屋の片付けもそこそこに高円寺のジャズ喫茶へ。最初に行ったのが南口のサンジェルマン、坊主頭のだみ声のマスターがいるジャズ喫茶の老舗だ。一歩入るなり常連とおぼしき客のジロリが、それでもめげず端っこに座る。文庫本とタバコを取り出しまずイップク。実にうまかった。これから毎日ジャズ喫茶にこられる幸せに浸りきっていた。当時高円寺にジャズ喫茶はたしか4軒あったと思う。二カスはすでになくなっていた。

東京にきて一ヶ月、毎日の生活費を削ってレコード代をためた。新宿の輸入盤専門店に向かう。松本では見なかったレコードが所狭しとおかれている。予算は2万円ほどあった。今までは月に一枚買うのがやっとだったのに今日は沢山買える。エサ箱を端から端まで丹念にみる。隣でレコードを見ている人がやけにマニアにみえる。自分が手に取っている初心者盤がちょっと恥ずかしい。8枚ほど選んでレジへ。検盤して代金を払って帰途につく。8枚ものレコードを買ったのは生まれて初めて、レコードの重さが心地よかった。

ジャズ喫茶にはよらず下宿へまっしぐら、そく聴いてみた。ライナーを読みながら一枚一枚じっくりと聴いた。当時つけていたレコードリストを見ると8枚のラインナップがチョー有名盤ばかりでちょっと気恥ずかしい。あの日のことがリストから鮮明に浮かんできた。

それから月末レコード店を巡ることが毎月の日課になった。


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