KOBAのジャズ青春記 第2回

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初めて買ったレコードのこと

毎月スイング・ジャーナルのレコード評を見てはため息をついていた。ステレオが無いためにレコードが買えなかったからだ。今ほどの発売枚数ではなかったにしろ、ラジオだけでは到底カバーできなかった。あれもこれも聴いてみたい。欲求不満が毎日たまっていった。

初めて買ったのは「オスカー・ピーターソン/ハロー・ハービー」中学2年の夏、意を決してレコード屋に入った。膨大なレコードに圧倒されて2時間ほどアレコレ迷った末にこのレコードをカウンターに持っていった。お金を払うと一目散に家に帰ってジャケットをながめた。そのときの新譜だったと思う。ダブル・ジャケットで解説は油井正一さんだった。

家にステレオは無かったが、祖母の踊り練習用のポータブル・プレーヤーがあったのでそれを借りて聴いた。恐る恐る針を落とすとそこからまぎれもないJAZZが流れてきた。もう嬉しくて嬉しくて、半日聴き続けました。

毎日学校から帰ると真っ先にプレーヤーの前に行きレコードを聴いていた。なにしろその一枚しかないからアドリブも全部覚えてしまった。今でもこのレコードを聴くたびにあの頃を思い出す。結局中学時代はそのレコード一枚だけであった。ステレオを買うまで我慢する事になった。
すり切れるまで聴いた一枚というなら僕にはこのレコードになる。↓

Oscar Peterson / Hello Herbie

Oscar Peterson / Hello Herbie (MPS)

昔の仲間ハーブ・エリスとの再会セッション。A面 2曲目の「イクザクトリー・ライク・ユー」ギターのイントロで始まり、1分12秒サム・ジョーンズのベースが加わる。
オスカーはいつものうなり声をころし息をひそめながら慈しむようにこの曲を弾く。
1分56秒ごろ耐えかねたように大きく息を吸い込むオスカー。
このへんのやりとりがジャズそのものを感じる。
ただ残念なのはこの大きく息を吸い込む音が再発の度に小さくなっていくことだ。エンジニアは単なる雑音と思っているのか?
オスカーのMPS時代のベスト3に入ると確信する一枚。
ぜひオリジナルで欲しいと思っています。

(*やっとオリジナル手に入れました、音が違います)


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